ブラザーズ~青い空へ~
ん?頭が痛い。もう時間かよ。全然寝た気しねーじゃん。シャワー浴びてあいつらの朝飯作んないとな。俺、朝弱いんですよね。

『悠!悠之心!起きろ!おはよう!』

『ん?慶兄!おはよう。ちょっと早いじゃん』

『そうだね。お前のお仕置きがあるからだよ。遅刻させるわけにはいきませんからね。早く尻出せ!』

『あ!やっぱ覚えてたんだ?もしかして忘れてるかもって期待してたんだけど。うわっ!ちょ、痛い!っつ、痛い!いってぇー!痛いよ!ごめんなさい!いたっ!いてー!』

『はい!50発終わり。手なんだからまだ甘いっすよ!お前が中学生になったら道具使うからそんな程度じゃ済まないよ。数時間で治まるような痛みじゃないからね。悪さしない事だな。早く寝癖直して来いよ!気になるお年頃になってきたんだろ』

『いってー!俺には手加減なしじゃん。充分いてぇーよ!』

『そりゃそうだろ。痛くなきゃお仕置きになりませんよ。龍や虎はまだ小さいからな。多くても30発ぐらいまでしか叩かない。大きくなればそれに伴い数は増やすし力も加えていく。多少手加減なしで数発叩く事もあるけど。まだまあいつらの悪さなんてしれてるからね。問題は君だよ。悠之心くん。高学年になって悪知恵もついてきてるからな。道具で尻叩かれると数日はいてーぞ。まあ悪い事せず約束を守ってくれればいいだけですよ!わかりましたか?』

『わかりました』

『はい。じゃあ俺は龍と虎を起こして虎のお仕置きするから準備できたら龍と飯食っといて!』

『うん。わかった』

『龍!朝だよ!起きて!』

『慶太郎兄ちゃん!おはよう!抱っこして!』

『はいはい。おいで!おはよう!龍!テストはこれ?本当だ。100点だね。よく頑張ってるね!龍は勉強好きなの?』

『うん!好き!僕も塾とか行って受験したい!』

『僕もって何?悠も塾なんて行ってないし受験なんてする気ないじゃん。剣道しかやってないよ。まあ俺も最低限の宿題だけしてれば別に勉強しなさいとは言うつもりはないんだけどね』

『違う!悠兄じゃないよ!お友達のユウトくんが塾行ってるの!でも受験ってなに?』

『中学受験の為か。もう1年生から?受験て言うのは行きたい学校に入るにはテストを受けないと入れない中学校があるんだよ。別にテストなんか受けなくても近くの中学ならみんな中学生になれるんだから俺はまだ無理しなくていいと思うよ。受験の意味もわからないで受験したいって言ってるんだから。龍はまだ1年生になったばっかりでしょ。塾じゃなくてお友達をいっぱい作って遊びなさい。龍は100点取れるんだから塾行かなくても勉強わかってるじゃん。そうだな。4年生になった時に龍が勉強が好きでどうしても塾へ行きたいと思っていたらその時は行ってもいいよ。とにかく宿題だけはちゃんとしててよ。わかった?』

『うん!わかった!』

『はい!じゃあ顔洗って準備したら悠とご飯食べててね!虎は宿題しなかった分をお仕置きするから』

『うん!』

『虎!起きて!虎!虎之助!起きなさい!虎!早く起きろ!』

『いやー!まだ寝るのー』

『お前にそんな時間はないんだよ!一昨日宿題しなかった分をお仕置きするぞ!約束をやぶったんだからな!』

『いやだ!したじゃん!』

『それは昨日の宿題でしょ?一昨日はしなくて昨日しないまま学校行っただろ。先生になんて言ったの?』

『忘れたって言ったよ!』

『虎!お前悪いと思ってないだろ?今日はちょっと痛いよ!宿題はちゃんとしなさい!みんなやってくるようにって先生が宿題を出すんでしょ?なんで虎は守らないの?それはいい事?』

『いやだー!忘れたんだもん!』

『忘れたんじゃなくてやるのがめんどうだったんでしょ?もう言い訳はしなくていい。約束した事を守らないとお尻を叩くって言ってあるんだから守らないお前が悪い!』

『い、いや!いや!いたぁーい!いやだ!痛いよ!うわあーん、痛い!痛い!いたっ!痛いよーうわぁーん、ご、ごめんなさい!痛いよー!痛い!いやだ!痛い!うぇーん』

『はい。終わり。痛いだろ。お仕置きされたくなかったら言われた事をちゃんとしなさい!わかった?虎!わかったの?わからないんだったらもう1回叩こうか?』

『い、いやだ!っく、うっく、わ、わかったから、うっく、痛いよー、っく』

『お仕置きだからそりゃ痛いよ。はい!パンツあげて。もう着替えもしちゃうよ。どれ着るの?』

『っく、うっく、あ、青いの、着る、っく』

『青いの?これか。はい!いいよ。もう泣かないの。ほら!おいで!抱っこしてあげるから。虎!約束はちゃんと守って。守らない事は悪い事なんだよ。わかった?』

『うっく、わ、わかった、うっく、っく』

『はい。わかったならいいよ。ご飯食べようね。あっ!虎はテスト返してもらってないの?』

『っく、あるよ!うっく、これ!』

『これか。虎!わかんないとこは教えてあげるから言ってね。虎は勉強嫌い?』

『普通!』

『あっそう。まあいいや。ご飯食べよう!』

龍が100点。虎は70点。1年生でこんなに差がでるかねー。まあとりあえず授業についていけたらそれでいいんだけど。宿題だけは最低やってくれよ!虎!はぁー朝から2人もお仕置きは疲れるな。頭いてーし。完全に二日酔いですね。俺、朝飯はいらないんだけど一緒に食わないとな。朝飯ぐらいだもんね。平日にお前らと食ってやれるのは。

『悠!誕生日なんだけど俺は仕事でお前の誕生日を祝ってやれないんだ。ごめんな。でも日曜日に誕生日プレゼント買いに行こうな!なんでもいいぞ!お前が欲しい物を買ってやる!』

『別に謝らないでよ。仕事なのわかってるし。慶兄だって誕生日じゃん。欲しい物っていくらまで?』

『いくらでもいいよ!お前が欲しいなら何だって買うよ!一緒に祝ってやれないのは本当に俺が悪いと思ってるんだ。バースデーケーキを慎二郎に買って帰らせるから4人で誕生日を過ごしてくれよ。バースデーケーキも美味しいケーキを予約しとくからね。俺が出来るのはここまでなんだ。ごめんな悠!』

『だから謝んなくていいって!充分嬉しいよ!俺、慶兄が誕生日覚えててくれてそうやって考えてくれてるだけで充分嬉しいんだから!マジだよ!』

『うん。ごめん。ありがとう。欲しいプレゼントを考えておけよ!』

『うん!テレビゲームの本体とソフトだったら何万もするけどいいの?』

『いいよ。いくらでもいいんだよ。でもそんなしょっちゅうは買わないからね!誕生日とクリスマスぐらい好きなだけ買っていいよ!』

『やったー!買うソフト考えとく!』

『はいはい。ほら!お前らもうすぐ時間になるよ!早く食べてよ!』

『はーい!』

本当は好きなだけいつだって買ってやりたいんだけどあんまりなんでもかんでもすぐに買って貰えると思わせるとよくないよな?でもなんだかんだ言いながら日曜日にショッピングモールに行ったら買わされてますけどね。俺が甘いんだよな。虎なんてグズれば買ってもらえると思ってきてるもんな。ダメだ。小型ゲーム機のソフトだってどれだけ買ったか。与え過ぎちゃってるよな。一緒にいる時間が少ないからってつい買ってしまってる俺が悪いですね。必要な物はなんでも買ってやるって言ってるけど虎が欲しがる物はゲームとかおもちゃだもんな。虎だけに与えられないから龍や悠にも買っちゃうし結局誕生日やクリスマス以外にも結構買ってやってしまってる。我慢も覚えさせないといけないですよね。子育てって本当に大変なんだな。

『ほら!時間だよ!忘れ物はない?』

『うん!』

『俺はない』

『僕もない!』

『はい!じゃあ車に気をつけてよ!悠!危ない所を教えてちゃんと見ててよ!行ってらっしゃい!』

『うん!わかった!行ってきます!』

『行ってきまーす!』

『虎!ちょっと待って!ちゃんと靴履きなさい!』

『だってなんかちっちゃい!』

『あーごめん!マジか。そんなに早くちっちゃくなるのか?悪かった。ごめんな!虎!今日絶対買っておくから!全部ちっちゃいの?こんなにあるのに?』

『こっちは大丈夫だけどこれやだもん!』

『いいじゃん!今日は我慢して履ける方履いてって!』

『いやだ!これがいいの!』

『もうわがままばっかり言わないで!今日買って来るから!』

『僕が選びたい!』

『わかった。じゃあ学校から帰ってきたら連れて行くから今日は我慢してこっちの履ける方履いてってくれる?』

『うん!わかった!』

『ありがとう!虎!ごめんな。気づかなくて。龍!お前は大丈夫?悠は?』

『俺は大丈夫!4月に買ってもらったばっかりじゃん!』

『僕もまだちょうどいいしまだ新しいの履いてない!』

『なんで新しいの履かないの?履いてよ!すぐ履けなくなっちゃうよ!』

『悠も龍もついでに買っとこうね!俺、仕事抜けて一旦帰ってくるから学校から帰ったらちょっと待っててよ!』

『うん!わかった!行ってきまーす!』

『行ってきまーす!』

『慶太郎兄ちゃん!ゲームも買ってくれる!』

『ゲームは買わない!早く行きなさい!虎!置いて行かれるよ!行ってらっしゃい!』

『慶太郎兄ちゃんのケチ!』

何がケチだよ。どんだけ俺がくだらない物まで買ってきたと思ってるんだよあいつは。すぐ飽きてゴミと化しているガラクタの山をよく見てから言えっつうの。これも俺の責任だよな。靴は参ったね。ちっちゃくなったら言ってくれないとわかんないよ。今日金曜か。現場がクソ忙しいんですけどね。しょうがねーよな。何でも履いてくれればいいんですけど好みってもんがいちおあるんだな。朝からなんなのこの疲労感。とりあえず午前中に俺がさばけるだけさばいて時間に余裕持たしておかないとヤバイな。午前中が勝負じゃん。資料なんかやってる時間はないね。
< 5 / 52 >

この作品をシェア

pagetop