Hina
悠介は今まで自分の所業が全く彼女にばれていないと思っていたので、奴にしてみればあまりにも突然の事だ。
腰を抜かすぐらいびっくりして、びびりにびびりまくっていた。
「どーしよー浩二。有希ちゃんがぁぁ」
半べそをかいて電話して来た悠介に、俺は彼女に喰らい付いて謝れと言った。
「もうバレた以上は罪を認めるんだ。そして逃げられないようにしがみついて謝れ。殴られようが、蹴られようが彼女が許すというまでひたすら謝るんだ。プライドのないお前なら必ず出来る」
俺は普段、奴を引き回して結果的には浮気をさせていた後ろめたさがあったので、精一杯励ました。
「分かったよう。しがみ付いて謝るんだね」
「そうだ手を離して逃げられたら終わりだぞ。今ならまだお前の身分は彼女の恋人だが、彼女を逃した以降は単なるストーカーに落ちるんだ。分かったか?」
「えー、ストーカー?」
「まあいい、深く考えずにとにかく謝れ。そして逃がすな」