Hina
俺は築20年、6畳と4畳半、キッチン3畳、風呂とトイレ付きで7万9千円のアパートの部屋の前に立った。
「ピンポーン」
「はーい。おかえり~」
俺の生活をジリ貧にした原因が、にこやかに俺を出迎える。
「今日はほんとに早かったんだねえ」
妃菜がニコニコ顔で俺を出迎えた。
相変わらず愛想がいい。
こいつから愛想を取ったら何も残らないかもしれない。
「飯の支度は?」
「できてるよーん」
俺はネクタイを緩めながら、テーブルの上を見た。