Hina
「んで、どこに遊びに行くの?」
「Wホテルのプール!」
「プールか・・・・・・何でWホテルなの?」
「角のおじいちゃんから招待券いただいたのぉ。おじいちゃんの息子さんってホテルマンなんだって。知ってたぁ?」
知るか、そんなこと・・・・・・アパートの並びの角の一軒家に80近いじじいが、中年のもう結構いい年の息子と二人で暮らしているのは知っている。
そのじじいは真冬でも、いつもいつも縁側に座り、通る人間を品定めするように眺めている。
もう七年近くじじいを見ているが、俺が通ってもいつも胡散臭い顔をするばかりだったのに、妃菜が来てからは妃菜と一緒にじじいの家の前を通ると、まあ嬉しそうな事。