Hina
だから俺が妃菜の素性について知っているのは、相沢っていう苗字と両親が健在って事くらいだ。
最初に出会った時、『パパもママもひどいんです』と言っていたから妃菜に両親がいることと仲違いがあった事は分かっている。
だけど何があったのかも教えてもらっていない。
こんな感じで一緒に暮らしていていいのだろうか?とふと不安に思うこともあるが、親の承諾がないと何もできないような歳でもないし、嫌がるのを無理に聞き出したってお互い気分が悪くなるだけだろう。
妃菜は袋に入った水着を俺から受け取るとすっごく嬉しそうな顔で
「ありがとぉ~」
と言った。
「まあいっか」
俺は呟いて、ヒナの手を引き店を出た。