Garnet~大好きの伝え方
「ったく、園田のくそったれめ」

まだ言ってる真木先生が、弁当を片手に戻ってくる。

形のいい足を、わざとなのかくせなのか組ながら、パイプ椅子をキィと鳴かせた。

ご飯粒のついた箸を向けてくる先生は、やっぱり教師らしくない。

「で」

と、唐突な詰問。

「もうこうなったら話して聞かせろ。なんで保健室に朝から逃げてきてるのよ。話して聞かせなさい」

「なにがどういう意味で、もうこうなったらなんですか」

「カツが落ちただろが」

「僕のせいですか」

「お前以外にだれがいるのよ」

先生の箸使いが下手くそなだけじゃないんですか。

そんなツッコミを入れたら、今すぐにでも保健室から蹴り出されそうな気がした。

さらには不当に、汚れたシーツを弁償しろとか言い出しそうだ。

溜め息を――つく寸前で思いとどまり、手の内の弁当へ、目を落とす。

昨日も一昨日もその前もずっと前からも、弁当を加奈と一緒に食べていたのに。

そんなことを思い出しては、苦笑する。

僕も未練たらしい男だな。
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