Garnet~大好きの伝え方
「僕ですね、大好きな子がいるんです。たぶん――いや絶対、世界中の誰より、どんなものよりも大好きな子がいるんです」

ここまで言って、

「なんだよなんだよ、恋バナかよー。なんだよー」

真木先生が大きく仰け反った。ギニィとパイプ椅子の背もたれが、悲鳴をかすらせる。

楽しみにして開けてみたプレゼントの中身が、実は自分の大嫌いなものだったみたいな反応だ。

「じゃあ聞くのやめますか。僕もそのほうが嬉しいんですけど」

「いや聞く。聞くから。とっとと話なさい」

どっちなんだろう、この人は。

保健室の清潔な白とはほとんど正反対な性格。

いちいち反応がカラフルで、ある意味じゃおもしろい。

「僕はですね、すごく好きな子がいるんです。だけど、その子と付き合おうとは思わないんです」

「ほう、そりゃなんでよ」

「だって付き合ったら、僕は絶対にその子を傷つけますよ。僕のいろんな感情を押しつけてしまうだろうし、汚ならしい男の欲望を見せるかもしれない。そんなの、彼女には一切触れさせたくないですし、見せたくもないんです。絶対、彼女を傷つけるから」
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