Garnet~大好きの伝え方
ほんの少し白く光を反射させているメガネの向こうから、

「加奈、お前、なんでここにいる?」

とても、とても……まるで今私が尻餅をついてる廊下のように温度のない目が、訊いてきた。

「あ、あは、はははっ、えへへへ」

笑いながら、できるだけ笑いながら、立ち上がる。

立ち上がりながら、こっそり、制服の袖で目をぐしぐしと抑えた。涙が出てたら、ヨシに顔向けできない。

ほっぺたを持ち上げて、笑顔。そう、ヨシにはいつだって笑顔を見せてあげなくちゃ。

「ヨシ、あのね私」

「なんで、ここにいる?」

「あのね私さっ」

「なんで、ここに、いるん、だ?」

「……っ、……」

瞬間、なのに自分でも、笑顔が凍りついていくのがわかってしまった。

ヨシの眼差しが、冷たい。ううん。マイナスですらない。

プラスも、マイナスもない。むなしいくらい文字通り、温度のない視線。

それが私を見つめてくる。

ヨシが私を見つめてくれる。

それは本当なら嬉しいけど……こんな温度のない空虚な目で見られると、逆に怖くてしょうがない。

なんだか、目の前にいながら、全然顔を合わせてないみたい。

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