Garnet~大好きの伝え方
いったいだれが、加奈を守れるって?

そういう自虐と苦笑。苦笑と自虐。ネガティブな諦観。

真木先生の言葉が脳裏に響いては、また思う。底のない沼はどこまでも沈む。

どうしてこんな僕が、そこまで加奈に想われているんだ?

今さっき、北川っていう一年が証言してくれたじゃないか。

僕は根暗で陰険さ。

僕なんかより彼のほうがずっと加奈に相応しい。

はっきりとわかった。

そう思いながら加奈を突き放し、そう思いながら僕は、ゆっくりと職員棟から踏み出た。

まだ渡り廊下に立っていた北川が、僕を見ている。

渡り廊下のほうが明るいから、職員棟の中は薄暗く見える。

だから彼には僕が、徐々に徐々にだれだかわかったろう。

それは、彼の表情が少しずつ憎たらしくなっていくので、察せられた。

「園田、善紀……」

そんなに僕が嫌いなのか、加奈に言われたことがショックなのか、先輩、とすらつけない彼の数歩手前で、止まった。

彼の言う通り、ここは陰険に、笑ってみせる。
< 126 / 370 >

この作品をシェア

pagetop