Garnet~大好きの伝え方
車も行ったり来たりできる広い正面口向こう、白い校舎の中に、僕は加奈を置いてきぼりにした。

胸の中にまるで、ずっと一緒に手を繋いでいた子供を差し出すような、虚無感がある。

吹いてくる風がいやに乾いていたし、大通りから響く車の音や、周囲の生徒の話し声、見んな、笑ってしまうくらい霞んで見えた。

いつも僕の隣で、いろんなものに鮮やかな色をつけてくれていた誰かがいない、

たったそれだけなのに。





う・そ・つ・き――

頭の中に西村さんの声なき言葉が蘇って、僕は首を横へ振った。

映像を、払う。

「加奈」

そしてなぜかひとつ、おまじないを唱えたくなった。

「どうか僕を……」

どうか――
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