Garnet~大好きの伝え方
もしも、僕の口にカウンターがついていたらきっと、その数字は軽く三桁になっているだろう。

なんの数字かって、当然、溜め息の数に決まっている。

ぼろぼろのふいごみたいになった僕の肺じゃ、何秒かに一度、深呼吸をしなきゃやってられない。

深呼吸したならもちろん、そのぶん大きな溜め息をつかなければならないわけで。

「――っはあ」

溜めに溜めた溜め息が、手にしている文庫のページを揺らした。

実をいうと、読んでいるのは恋愛小説だった。

いろいろな障害やいろいろな悩みに苦しむ主人公が出ているのを選んでいるのだが……

たぶん、最後まで読まないだろう。

< 142 / 370 >

この作品をシェア

pagetop