Garnet~大好きの伝え方
今まで、いくつもいくつも恋愛小説を読んだ。

男のくせにとか、言わないでほしい。僕は真剣なんだ。

真剣な話、耐えられなかった。

加奈がそばにいない、そんな日常――いや、非日常は。

恋愛小説を読み始めたのは、昨日今日の話じゃない。

いつだったか、図書室で加奈を待っていた時だって、読んでいたのは恋愛小説だった。

後押しが、ほしかったのかもしれない。

加奈を突き放す直前、真木先生が僕を焚き付けたような、後押しが。

けれど……

どんな障害のある恋愛小説でも、僕は最後まで読めなかった。

読む気になれなかった。

だって、小説の主人公はみんな恋に正直で、障害があればあるほど燃えるんだ。

僕にとってそんなの、なんの後押しにもなりゃしない。

だって、僕と加奈の間には本来、障害なんてありはしなかったから。
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