Garnet~大好きの伝え方
ピン・ポーン♪





とその時、インターホンが鳴ってハッとする。

絶対にそんなはずがないのに、加奈が来たのかもしれないと期待する僕がいた。

「はいはい、どちらさま? ちょっと待ってちょうだいねぇ」

と、母さんが玄関へ向かう足音が聞こえた。

身体全部が耳になっていて、来訪者がだれなのか、聞き取ろうとする。

けれど、心臓がうるさくて上手くいかない。

加奈かもしれない。

いやありえない。

でも加奈だったら? 

ありえないってば。

だけど、加奈なら――加奈なら、嬉しい。

絶対にありえない。

ありえなくても、万が一にも加奈だったら――

ありえなくても、もしも、もしも――。

理由なんて要らない。

なぜかでもいい。

夢遊病だってかまわない。

加奈が来てくれることを、願っていた。
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