Garnet~大好きの伝え方
北川くんは、私が泣いている理由も訊かず、しゃがんで、目線を合わせてきた。

「加奈」

と、いつのまにか呼び捨てになり始めた彼が、優しい声を使う。

「明日……日曜日、ちょっと付き合って」

都合よく利用してるずるい私に、北川くんは優しい声を使う。

「デートに行こう、加奈」

私は君に優しくないのに。

君は私に優しくするんだ。

断るだけの権利なんて、あるわけがない。

たとえ北川くんの申し出が、私を元気づけようってつもりでも、

単にデートがしたいっていう下心でも、私に、断っていい道理なんかあるわけない。





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