Garnet~大好きの伝え方
彼女は僕のことをヨシと呼ぶ。

それは昔からの呼び方で、彼女が僕のいろいろなことを知っているという証明。

だけど、加奈……君は本当に知ってるのか?

僕が、ほんの一枚心の皮をめくったところで、君に凶暴な感情を抱いているって。

落ち着いて本のページをめくる僕とは、かけ離れた黒さがあるなんて、気付いてるのか?

知ってるのか?

「ほらほら、帰るよヨシ。ボサッとしない」

「ああ」

背中をトントン押してくる加奈に促されて、歩き始める。

外は、もうじんわりと、ブルーベリーのような色になっていた。
< 16 / 370 >

この作品をシェア

pagetop