Garnet~大好きの伝え方
思わず、苦笑した。

「さっさと食ったら? じゃないと俺が食うよ」

「えっ、困る! なら私食べるっ!」

「どうぞどうぞ」

子供がおやつを守るようお皿を持ち上げてまでケーキを庇うものだから、なおさら、今度は本当に笑ってしまった。

なんなんだろう、西村さんは。この人がいるだけで、空間がふわふわしてしまう。

子守唄代わりのクラシックでも流れ始めたように、世界の色彩がパステル調になっていく。

悠里は、いつもこんな世界にいるんだろうか。

「んぅーっ! 美味しーい♪」

イチゴ一個入るのもやっとのような小さな口で、西村さんはぱっくぱくケーキを食べていく。

頬がどんどん、ケーキを一口食べるごとにほくほくと緩んでいく。

本当に美味しそうに食べる人だ。気がつけば、あっという間にイチゴショートは消えていた。
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