Garnet~大好きの伝え方
「ごちそーさまでしたあっ♪」

と、礼儀正しく手を合わせた彼女に、つい訊いてしまう。

「そんなケーキ好きなの? 西村さん」

「もちろん、大好きだよっ。ヨシくんは?」

「俺は……まあ、好きかな」

「『まあ』ってなあーにぃ? 『まあ』ってー」

西村さんは口もとに手をやりながら、くすくす笑った――かと思えば、

「……私には、『俺』っていうとこ、見せるんだね」

「え?」

「ヨシくん、加奈ちゃんの前じゃ絶対、俺って言わないでしょっ」

「それは……」

「俺って使うとこ、加奈ちゃんに見られたくないの? 聞かれたくないの?」

「……」

「ヨシくん、本当に、加奈ちゃんのこと好き?」

「それはも……!!」

もちろん、と言おうとして、引っ込めた。

膝の上に乗せた拳を握り締めながら、俯いてしまう。
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