Garnet~大好きの伝え方
「北川くん、さっき、私のこと加奈って呼んだでしょ」

「……」

「呼んだよね」

二回訊くと、彼はとても渋々うなずいた。

バツの悪そうな顔だけれど、私は、そんな彼にピシャリと言った。

「加奈って呼んでいいのは、学校のある日の、学校の中でだけ。学校から出たり、休みの日はダメだって約束したよね」

そう、したのだ。約束。そして彼も、それを承諾してる。

最初は、北川くんからの申し出だった。先輩じゃなく、加奈と呼びたいって。

私も、少し考えたんだ。

北川くんに名前で呼び捨てを許したらきっと、私と彼が付き合い始めたってすぐ回りに伝わる。

もちろんヨシにも。

だからためらった。少なからず、イヤだった。

北川くんに「加奈」って呼ばれるたびに、ヨシを裏切っているようで、心地悪かった。
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