Garnet~大好きの伝え方
自分の好きな人と同じ時間を過ごす緊張。

私がヨシに奪われる前に、どうにか自分に振り向かせたいっていう焦り。

そんなひしひしした感じをずっと、惚れられている側として感じていた。

けど――水族館の中を回り始めてから――正確には、私がジンベエくんに驚いちゃってから、北川くんは自然になった場合は、

ここの水族館によく来ているのかもしれない。

彼はとても楽しく、おもしろおかしく、館内を引っ張り回してくれた。

ヒトデだって触った。ナマコも触っちゃった。

背ビレをいっぱいに動かしてゆらゆら泳いでいるタツノオトシゴや、

チクチクに膨らんだハリセンボンとにらめっこもした。

青や黄色の綺麗な魚を見つけたり、深海に住むへんてこな顔の魚に驚いたりもした。
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