Garnet~大好きの伝え方
そして気付いたら、あっという間に水族館を一周してしまっていた。

少し歩き疲れて、北川くんのおごってくれたコーラを片手に、ホールみたいなところで休憩することにした。

教室一個分ぐらいの広い空間を、ところどころ太くて丸い柱が支えている。

その柱の真ん中ぐらいがまた水槽になっていて、熱帯魚が泳いでいた。

部屋の壁も全部ガラス張りだから、ホールはまるで、海の中みたい。

天井でぼんやり光っている照明は、ここだけ黄色っぽい。

それがまた、海中から太陽を眺めてるみたいで、素敵なコーディネートだった。

「……俺、安心しました」

と、北川くんが言った。

自分のコーラはプルタブも開けず、目線も、真正面へ固定したまま。
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