Garnet~大好きの伝え方
声だけが私に届く。

「でも、ここに来て、先輩がでかい声あげて驚いた時、ハッとしたンすよ。

俺はやっぱり、先輩のことが好きなんだって。

林原加奈って女の子の、もっといろんなこと知りたい。俺のことも、もっと知ってもらいたい。

そう強く思ったンす」

「……そう」

そして三度目は、小さな声だけれど、うなずけた。うなずいてあげられた。

私は、北川くんを特別だとは思ってない。

特別にしてあげたいとも、思ってない。

とてもひどい言い方をすれば、どうだっていいに近い。

でも、そんなどうだっていい男の子からでさえ、好きって言われるとこんなに胸がくすぐったくなる。

手放しで喜んじゃいけない嬉しさと恥ずかしさが、胸の内側でざわざわする。
< 225 / 370 >

この作品をシェア

pagetop