Garnet~大好きの伝え方
北川くんは改めて、これが本当のお願いとばかりに、言った。

「じゃあ先輩、俺のことできたら、名前で呼んでください。

ただの先輩と後輩より親しくなれたんだって証拠に。これからは、光一って呼んでください」

それは彼にとって、たった唯一、本当の意味でせめて味わいたい、幸せなのかもしれない。

苦くて、切なくなるばかりのはずの、複雑な幸せ。

本当にごめんね。

ひどいことをしているから、そう思う。

こんな私でも、彼に少し、恋人以外の立場でなにかしてあげられるのなら――

叶えてあげよう。

「いいよ。光一くんって呼ぶね、これから」

「はい。ありがとうございます」

< 235 / 370 >

この作品をシェア

pagetop