Garnet~大好きの伝え方
「んっんー、おほん」

と、再びの咳払い。

そして悠里は一本、人差し指を立てた。

「じゃあ仕方ないな、シンプル・イズ・ベストに基づいて、最良の策を教えてあげるよ」

「なんだよ」

「一回しか言わないよ」

「早く言えってば」

「うん。――好きだって言えばいいだけじゃないかっ! ぁ痛いっ!?」

一度ならず二度までも踏んづけられるコイツは、ひょっとしたら学習能力がないのかもしれない。

けっきょく僕は、自分の頭で加奈への告白方法を考えることになった。

いや、最初から自分の頭で考えるべきだったのかもしれない。

自分の大好きな女の子に気持ちを伝える方法は、だれ彼から教えてもらうようなものじゃないし、

たぶんきっと、受け売りの告白をしたって、満足できないんだ。

もっとも――

家に帰ってからああだこうだ考えてみると最後には、悠里や西村さんに言われた通り、シンプルなのが一番だと気付いた。
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