Garnet~大好きの伝え方
僕は自分から身を引いたんだ。

しかも北川に、「加奈を任す」とまで言ってしまった。

あれは、完全なる辞退宣言だったんだ。

それが今さら、のこのこ出ていこうっていうんだ。

たしかに、水族館で彼が加奈を諦めるのは聞いた。

だけどそれは盗み聞きだったんだ。

僕は二人のあの会話を聞いてないということで、告白しなくちゃいけない。

しばらく考えて、

(……おじけづくな、園田善紀)

僕は、固くまぶたを閉じた。

加奈は強く僕にぶつかってきてくれた。

何人も男をふってずっと、僕にぶつかってきてくれた。

北川もそうだ。

諦めず、諦めずに加奈へぶつかった。

目の上のたんこぶみたいな僕に憎悪まで抱きながら、加奈へぶつかった。

それなのに、同じ土俵に上がろうとしている僕がまだ、後ろ暗い気持ちでどうするんだろう。
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