Garnet~大好きの伝え方
汚い欲望の対象が、まさかこんな無防備な状態であるのに、僕は耐えられない。

だから鋼のような精神力を背骨に突っ込んで、強引に視線を前に固定する。

真正面……すっかり暗くなってしまっているせいで、窓には僕らがくっきり映っていた。

がちがちに力んでいる僕と、腑抜けたみたいに寄りかかってる加奈。

すごく滑稽な構図がそこにあった。

「んん……」

位置が悪かったとでもいうのか、加奈がぐりぐりと身じろぎした。

頭の位置が少し持ち上がって、僕の耳に、彼女の頭が当たる。

――ほのかに……香りがした。

シャンプーとかじゃない。人のぬくもりといおうか、なんというか、加奈の匂いを感じる。
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