Garnet~大好きの伝え方
彼女が試行錯誤したように、僕も試行錯誤する。

そして僕は、彼女の気持ちへの返答として、きちんとけじめをつけたい。

彼女が今まで何度もぶつけてくれた、好きだという感情。

僕が何度も弾き飛ばしてしまった、綺麗で純粋で一直線な好意。

僕は彼女に応えたい。

僕のためにも、彼女のためにも、応えたいんだ。

ところで――

その肝心の加奈なんだけど、今は姿が見えない。

放課後、気付いたらどこかへ消えてしまっていた。

もっとも、今の僕はそう簡単に加奈へ話しかけられる心境じゃないし、

仮に話しかけたとしたらそれは、いよいよ告白する時に、だ。

まあそのおかげで僕も、こうして徐々に人の少なくなっていく教室で、机にかじりつきながらうんうん唸っていられるのだけど。
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