Garnet~大好きの伝え方
「な、なんだよ。大変って、なにが、どうしたんだよ?」

「図書室に行くんだ」

「は? 図書室?」

そこは――加奈が北川と付き合うようになってから、密かに避けていた場所だ。

なぜなら……いや、もう言わなくてもいいことかもしれないが、加奈を、思い出すから。

僕は彼女をずっと待っていた。

彼女が男からの告白を受ける時はいつだって、図書室で待っていた。

彼女はだれかからの告白を、今日は受けてしまうんじゃないか。

内心ではそんな風にひやひやしながら、わざと凍らせた心でページをめくっていた。

だけど、加奈と北川が付き合うようになってからは、そもそも図書室へ行かないようにしていた。

あの静かな空間は、意味もなく過ごすにはあまりに、耳に痛いんだ。

沈黙で、鼓膜が押し潰されそうになる。
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