Garnet~大好きの伝え方
僕はそう、いつも待っていた。

彼女が図書室のドアを開く瞬間を、本当に、いつだって。

人が入ってくれば顔をあげてしまう。

足音が聞こえれば顔をあげてしまう。

その時の些細な気配で、すぐに加奈かどうかわかる。

今の足音も気配も、加奈のものじゃない。

わかるのに、顔をあげてしまう。

僕は、加奈を期待している。

いつだって、何度だって、加奈の来訪を心待にしている。

だから図書室なんかにいると、心休まらないんだ。

加奈じゃない人が入ってきても、加奈じゃないとわかっていても、意識の端っこを弾かれてしまう。

全身が耳になって、加奈の足音かどうかを判断してしまう。

そしてさっきも言ったとおり、だいたいの場合それは、加奈のものじゃない。
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