Garnet~大好きの伝え方
そうなったら自然と、満たされなさが募っていくんだ。

加奈を突き放したのに、逢いたくて、逢いたくて、それでなくても、彼女の姿を見たいと思ってしまう。

同じ空間にいたいと思ってしまう。

だから、そんなことにならないように図書室には行かないようにしていたんだ。

たぶんそれは、悠里や西村さんも感じ取っていてくれたことだろう。

なのに、図書室に、行け?

なんだってそんなこと急に?

「急ぐんだ、善紀!」

と、なぜか悠里は切迫した様子で僕の腕を掴んだ。

力任せに、立ち上がらせられる。

それがあまりに乱暴だったのと、彼がなかなか事情を説明しないから、

「なんだよ!」と少しいら立つ――よりも早く、

「加奈ちゃんが大変なの!」

西村さんも、僕の腕を掴んだのだった。
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