Garnet~大好きの伝え方
とにかく、図書室に行かなくちゃいけない。

加奈の名前が出たり、西村さんのものすごい眼光なんかで動転したものの――

そうだ、肝心なのは『加奈が大変だ』ということなんだ。

いったいなにが大変なのかは、さっぱりわからない。

でも、穏やかさならウチのクラスでも最高ランクに位置するあの二人を、あそこまで焦らせることなのは間違いない。

そこまで大変なことが、加奈に、起きた?

「なにがあったっていうんだよ、くそっ!」

二人から伝染した焦りが、口を突いて出た。

コンクリートに、僕の荒い言葉がわんわん反響していく。

階段を駆け降りるのがどうしようもなくもどかしくて、高いところから一気に跳んだ。

着地と同時に、普段味わわない衝撃。

歯を食い縛る。

必死だった。

それこそ、転がるように僕は走った。
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