Garnet~大好きの伝え方
依然として睨んでくるみんなの目を無視して周囲を見回しても、加奈の姿はない。

息が上がってしまっていて、酸素が足りなくて、よく考えられない頭で――

だけど、すぐに気付いた。

図書室には、死角がある。

そこまで行ってみないと気付けない、少し埃臭くて、特にひと気の薄いところ。

辞書や世界地図、なにかの小難しい学術書やずっと昔の新聞なんかが収まった、高くて大きくて重い本田なが居並ぶ、一番奥。

みんなの記憶の片隅で、色褪せるのを待つばかりでしかないセピアの空間。

乱れきった息を整える間も惜しんで進む。

いいや、加奈が大変だって時に、息を整えられないことなんて、全然惜しむべきものでもない。

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