Garnet~大好きの伝え方
北川くんが、圧倒されているんだ。ヨシに。

それは、ヨシがここに駆けつけてくれるに至った覚悟なのか、

背筋を伸ばせるようになった自信なのか、

そこまではわからない。

だけど今のヨシは、さっきみたいに「へんっ」と鼻で笑ってしまえる相手じゃない――

北川くんの表情からは、そういう焦りがじわじわ読み取れた。

あれだけ怒りに震えていたヨシの拳が、そっと、力なく開かれる。

静かな、声だった。

「北川……僕はお前に謝りたい。

謝って、はいそうですかって許されることでもないのはわかってるけど、謝りたいんだ」

その宙ぶらりんな左手が、

「加奈を、返してくれ。返してもらう。

――いや、加奈はモノじゃないから言い方を変えるよ。

――加奈は、僕が守る」

「なに……言ってンすか、そんな、身勝手なこと」

「それはわかってる。だから謝りたいんだ」

くい、くい、と指先だけ動いた。
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