Garnet~大好きの伝え方
「実はね? 作戦、立ててたんだ」

と、加奈は笑う。

後ろ手を組ながら、とて、とてと数歩、歩いた。

くるり。彼女が振り返る。

「私も、あんなことするなんて知らなかったけど……

北川くんがね、ヨシを焚きつけてくれたんだよ」

「焚きつけた、って……」

それはつまり……あれは全部、演技だったってことか?

ついに起こってしまった衝撃的過ぎる過ちが、結局はただの衝撃的な嘘だった。

そうとわかった僕は――呆けた。

台風がやって来て、家の屋根も壁もまるごと吹っ飛ばされ、自分も空へ舞い上げられてしまって、地面へ落下する。

そんな恐怖を味わったのがすべて、はい夢でした、と言われたような気分。
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