Garnet~大好きの伝え方
加奈が、きゅうっと両肩を持ち上げて、首を縮める。

しかも、少し困った顔の、上目遣い。

「ヨシ、やっぱり……怒っちゃった?」

「……」

そのしぐさを見て、ただ単純に、ああかわいいなと思った僕は、もう負けだ。

情けないながら、悩殺されたのだ。

怒っちゃったもなにも、怒るに怒れない。

「……いや、もぉ、なんていうか……」

少しふらっと来て、ぱちんとひたいを押さえた。

長い溜め息が出る。

「じゃあ、あの図書室のも、お芝居だったわけだ……?」

「ん。……あんなことするなんて、聞かされてなくて、素でびっくりしたけど」

「……悠里や、西村さんも?」

「? 悠里くんと麻里亜ちゃん? え? なにそれ、知んないよ」

「――っ、加奈は知らなくっても、たぶんあの二人のことだからなぁ……

あの二人もグルだったんだよ、たぶん。あの二人に言われて図書室一端だから」

「へぇー、そうだったんだ!」

そうだったんです、はい。

西村さんなんか、猛虎のオーラをまとうくらい迫真の演技でございました。
< 313 / 370 >

この作品をシェア

pagetop