Garnet~大好きの伝え方
「う、うん……聞かせ、て?」

だからほら、なんだか加奈も、ぎこちない。

こんな展開は、百回以上の予行練習の中でさえもなかった。

ほんとに、北川も悠里も西村さんも、あんなことしてくれなくてよかったのに!

北川から逃げてきたあとで、偶然なのか必然なのか立ち止まった自転車小屋で、告白する。

雰囲気もへったくれもありゃしない。

いくらなんでもこんなシチュエーション、少しも考えてなかった。

真正面から、加奈を見つめる。

体も正面、顔も正面。

僕らはお互いを認識し合う。

距離は、手を伸ばせば触れられる。

一歩ほどでもない。

至近というほどでもなく、でも、離れているわけでもない、近さ。

その距離で、僕らは見つめ合う。
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