Garnet~大好きの伝え方
半歩、彼女が前進してきた。

僕らの距離が、腕一本分も、なくなる。

「すごく、待ってた」

そう言う彼女に、とてもあたたかなものを感じた。

ずっと、寒くて暗い闇の中を歩き回っていて突然、自分の家に帰りついたような。

外の寒さに凍えていた僕にそっと毛布をかけてくれて、

暖炉の前に案内してくれて、

そして後ろから抱き締めてくれて。

耳元にそっと、「おかえり」って言ってもらえたような。

体の内側から来る、優しい優しいあったかさ。

そう加奈は、ずっと待っていてくれたんだ。

僕が彼女の前に立てる、今この時を。

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