Garnet~大好きの伝え方
Ⅳ―Ⅲ
もうすぐ五月も終わる。
梅雨の香りは、まだ感じない。
だけど、いつだったか夕日の眩しさに目を細めた時より少し、日の照る時間は長くなってる――気がする。
その部屋のドアを開くと、中にいるのはたったひとりだった。
二人揃っていると思ったのに、ひとりだけ。
片手でプリントを持っている彼女は、私に気付くと空いてるほうの手でチョコ色の髪を耳にかけながら、微笑んでくれる。
「あらっ、加奈ちゃんよーこそー♪ どったの?」
「うーん、ちょっと時間潰しに」
「時間潰しぃ~?」
後ろ手にドアを閉めながら答えた途端、麻里亜ちゃんの表情が歪んだ。
晩ご飯がピーマンごはんとピーマンサラダとピーマンの炒め物にピーマンスープだった日の子供みたいに、口をへの字に曲げる。
梅雨の香りは、まだ感じない。
だけど、いつだったか夕日の眩しさに目を細めた時より少し、日の照る時間は長くなってる――気がする。
その部屋のドアを開くと、中にいるのはたったひとりだった。
二人揃っていると思ったのに、ひとりだけ。
片手でプリントを持っている彼女は、私に気付くと空いてるほうの手でチョコ色の髪を耳にかけながら、微笑んでくれる。
「あらっ、加奈ちゃんよーこそー♪ どったの?」
「うーん、ちょっと時間潰しに」
「時間潰しぃ~?」
後ろ手にドアを閉めながら答えた途端、麻里亜ちゃんの表情が歪んだ。
晩ご飯がピーマンごはんとピーマンサラダとピーマンの炒め物にピーマンスープだった日の子供みたいに、口をへの字に曲げる。