Garnet~大好きの伝え方
そんな風にして笑い合ったのは、放課後の音楽室。

窓の外からは、野球部やサッカー部が練習する、威勢のいい声が聞こえる。

これから夏に向けて、どんどんがんばっていくんだろうなあ。

きっと、剣道部もそうなんだ。

さすがにここからじゃ声は聞こえないし、届かない。

言葉以上の意味なんてないけれど、光一くんにもこっそり、心の中だけでがんばれって送っておいた。

いつもは麻里亜ちゃんと一緒にいる彼が座っているピアノの前に、私が座る。

実はこう見えて、私はピアノが、弾けない。

わざわざこう見えてというほどのことでもないけど、ピアノは弾けない。

だから、

「あ、加奈ちゃん、悠里の代わりに弾いてくれるの?」

「ムリデス……ワタシ、ムリデス」

そんな風に期待されたって、できません。
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