Garnet~大好きの伝え方
それでも、加奈と一緒にいるとふとした時に北川の顔がよぎる。

つまり僕は、加奈との関係を気持ちよく過ごしたいがために、北川とのけりをつけに来たと言えなくもない。

だからこれでも、いろいろ覚悟してきたんだ。

北川もきっと、「ようやく来たか」という心持ちだと思っていたのに、

まさか、「へっ」なんかですまされるとは思わなかった。

しかも、『そんなことで』と言われたんだ。

調子が狂う。

パァンッ! とまた、すぐ横の剣道場で鋭く乾いた音が響いた。

驚く僕と、平然としている北川。

慣れだってあるかもしれない。

でも、度胸は恐らく、彼のほうが数段も上かもしれない。
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