Garnet~大好きの伝え方
少し、自己満足が過ぎたかもしれないと思い、背中を向けてしまう北川を呼び止めるのも、やめた。

せめて、剣道場へ戻っていく袴姿を見送るために立ち尽くしていた僕は――

「――も、」

「え?」

「もしも、林原先輩を泣かせるようなことがあったら……」

「……」

「俺は、お前を、殺す」

平凡な普通高校の、平凡な日常では滅多にどころか、絶対聞けないだろう宣言を、食らった。

今の一言に、この数日――

いや、今まで北川が抱いてきたなにもかもの思いが、すべて凝縮されていた気がする。

凝縮された結果が、『殺す』なのだから……

(やっぱりアイツ、体育会系だ。顔に似合わず体育会系だ)
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