Garnet~大好きの伝え方
僕にはなんとなく、『加奈を任せる』と言われた気がしてならない。

言われるまでもないことだけど……

言われた以上、加奈を奪い去った男として、けじめはつけなくちゃいけない。

だからまずは――僕のことをきっと待ってくれているだろう加奈のところへ、行こう。

北川と話をするために、先に帰っていいよとは言っておいたけれど……

加奈のことだから、待っていてくれるに違いない。

予想以上の、確信。

それは、僕が加奈を知っているからだし、加奈が、僕のことを好きでいてくれるから。

だけど、そんな都合のいい前提がある自信の上にあぐらを掻くことだけは、しないようにしたい。

僕がこれからも加奈を好きでいるように、加奈にも、これからだってずっと、僕のことを好きでいてもらいたい。

そのための努力は、怠りたくない。
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