Garnet~大好きの伝え方
さんざ自分を罵倒しておきながら、結局僕は、理性に従わなかった。

加奈のあえぎ声を聞きたい欲望にわざと飲み込まれ、甘く囁くその熱を増大させるためだけに、僕は動いた。

動いて、彼女を泣かせた。

そのまなじりに溜まっていく涙さえ、いとしく感じてしまったのだから、よっぽと僕は汚れている。

なんで、どうして、僕は彼女にミクロン単位の傷もつけたくないのに、こんなに残酷なことばかりしてしまうんだ。

男を押しつけてしまうんだ。

どうして、その柔らかい肌に、こんな、自分の感情を突き立ててしまうんだ。

くそったれ。
園田善紀の、くそったれ。

心と体が矛盾していく。

加奈に悲痛な声をあげさせるのも僕なら、そんな行為を呪っているのも僕だ。

欲の塊を加奈へ当てつけ、扇情に都合よく流されて。

最低な行為だ。

「ヨシ、ヨシ、気持ちい、よ……ぉ……」

密着した加奈が、そんなことを言う。

吐息が、耳に熱い。

加奈、そんなことを言わないでくれ。

うそだって、そんなのうそだって。

その瞳に溜め込んだ涙を証拠に、うそだって言ってほしい。

そうでないと、そうでないと僕は――
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