Garnet~大好きの伝え方
Ⅱ
図書室には、たくさんの本棚が並んでいる。
ニスの塗られた赤っぽい木材の、重々しくて高い本棚。
それが単調な迷路のように並んだ奥。
辞書や世界地図、ずっと前の新聞や、卒業生が残した創作物が陳列する、ほこりも追いやれたかわいそうな隅っこ。
そんな図書室の一番奥は、とても静かで、ほの薄暗くて、すごくセピアだ。
そんな、モノトーンの世界に、ヨシはとても似合う。
わがままで気品たっぷりで意地悪な彼が、手にしている本を棚へ、適当に置いた。
「加奈」
と、いったいいつからかな、気付いたら低くて凛々しくなっていた声で、私を呼ぶ。
メガネを外しながら、彼のてが、私の左頬に触れた。
す、る、と撫でられて、私は猫のように目をつぶる。
「大好きだよ、加奈」
その吐息が近づくのを、感じる。
彼は、私にキスをした。
優しくてあたたかい、やわらかなキス。
ニスの塗られた赤っぽい木材の、重々しくて高い本棚。
それが単調な迷路のように並んだ奥。
辞書や世界地図、ずっと前の新聞や、卒業生が残した創作物が陳列する、ほこりも追いやれたかわいそうな隅っこ。
そんな図書室の一番奥は、とても静かで、ほの薄暗くて、すごくセピアだ。
そんな、モノトーンの世界に、ヨシはとても似合う。
わがままで気品たっぷりで意地悪な彼が、手にしている本を棚へ、適当に置いた。
「加奈」
と、いったいいつからかな、気付いたら低くて凛々しくなっていた声で、私を呼ぶ。
メガネを外しながら、彼のてが、私の左頬に触れた。
す、る、と撫でられて、私は猫のように目をつぶる。
「大好きだよ、加奈」
その吐息が近づくのを、感じる。
彼は、私にキスをした。
優しくてあたたかい、やわらかなキス。