Garnet~大好きの伝え方
「おはよう、善紀くん」

「おはよう悠里」

仏頂面になっただろうけど、返しておく。

この、音だけだと女の子と勘違いしてしまうような名前の彼は、中学時代からの友達だ。

お互いに下の名前で呼ぶだけの親しみがある。

そして、彼が僕の名前に『くん』をつける時は大抵、なにか企んでいたり、僕の様子を観察していたりする場合だ。

まだ人の少ない市電。

僕らは楽々と椅子に座った。

座ったところで、

「あ、なるほど」

悠里が拳を、ポンと掌に打ち付ける。

わざとらしくしげしげ僕を見つめた悠里は、観察日記でもつけている小学生のような目をしていた。

「なにか疑問だったんだけどわかった。今日、加奈ちゃんはどうしたの?」

「今日は別々」

正確には、今日からは……。

「ふうん。いつも一緒なのにね?」

「……まあね」

その口調が明らかに、なにかあったんだね? と遠回しな質問をしていた。
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