Garnet~大好きの伝え方

2―2

僕と加奈、そして悠里と西村さんは同じクラスだ。

僕の前の席が加奈で、後ろが西村さん。

だけど悠里はふたつ列を隔てた向こうで、三つくらい前。ひとり離れている。

それなのに彼は今、僕の前――つまり加奈の席に座っていた。

それも、ただちょっと場所を借りているというわけじゃなく、加奈の机と自分の机を丸々移動させていた。

「なんのつもりだよ?」

クラスのみんなはなんだなんだと見ているし、先生が来たら来たで、どんな風に言うつもりだろう。

椅子を横に向け、僕の机に肘を突いている悠里はまるで、審問官のようだった。

刑事ドラマなんかで、「お前がやったのか? ん?」って訊ねてくるあれだ。

「なんのつもりもなにも、君が加奈ちゃんと距離を置きたいって言うから。僕の親切心だよ?」

そんな親切心まったく要らないと即座に反応しようとしたけど、やめた。

そうさそうともその通り。

僕は加奈と距離を置きたいって言った。

だから悠里の行いは、とてもありがたいことなんだ。
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