Garnet~大好きの伝え方
「善紀……」

「なんだよ……」

「……」

無言で、あごをしゃくられる。

ドアのほう。

「……」

そこに、

「……」

猫だましを食らったような加奈が、

「……」

今にも吹き飛ばされそうなタンポポのように、

「……」

立っていた。

「加奈……」

その表情を見れば、わかる。

今僕がまくし立てたすべてを、彼女は聞いていたんだろう。

僕はなんて愚かで、なんて無価値で鈍いくせに、なんてなんて、こんなことにだけはついているんだろう。

不幸になる天才かもしれない。

できるだけできるだけ意地悪な笑顔で、加奈へ歩み寄る。

「今の、聞いてたね?」

「……」

極端なまでになんの反応もない加奈の目が、僕を見ている。

彼女へ続く一本の道は、まるで恋人のために用意された儀式の距離に思えた。

だけど残念ながら、僕達の肉体的な距離が近づくにつれ、その関係は破綻へ進んでいると知っていた。確信できた。

最後の一歩もためらわず、加奈の前で立ち止まる。
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