Garnet~大好きの伝え方
無言で立ち尽くす彼女の瞳の、なんて澄んだことだろう。

こんな一瞬でさえ見とれてしまいながら、僕は、大きく息を吐いた。

「――加奈……僕は加奈の彼氏にはなれない。ぜっ、たい、にだ」

「……ぁ」

「さようなら、加奈」

そしてポンと肩を叩き、横をすり抜けて、教室を出た。

加奈の後ろにいた西村さんと目が合う。

彼女はその大きな瞳で、僕を見ていた。

責めるでも嫌うでもなく、なんの感慨も見られないつぶらさで。

その薄桜色の唇が、声を出さずに動く。

う・そ・つ・き。

ゆっくり、わかりやすくそう見せて、西村さんは呆然としている加奈の背中を押した。

静まり返った世界に、ゴロロ・パタンと、ドアの閉まる音。

それをぶち壊したくて、苦笑してやった。

「うそつきじゃない。僕は正直だ」
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