Garnet~大好きの伝え方
「加奈ちゃん、溜め息をつくと幸せが逃げるんだってさ」

「え……あ、溜め息ついてた?」

「大きいやつね」

悠里くんが小さく笑う。調律されたような穏やかな声だ。

今度は自分でも気付けるくらいの溜め息が出た。

今日二回目、同じことを思う。

「私、二人が羨ましいな。本当にそう思う」

「あら、どうしてっ?」

「どうしてって……きっと誰だってそうだよ。ケンカなんてしなさそうだし、お互いのこと理解してそうだし……生まれる前から恋人みたいなんだもん。羨ましくないわけがないじゃん」

「うう~ん、そこまで言われると照れるね」

「ねっ」

おにぎり片手の悠里くんと、お箸で卵焼きを掴んでる麻里亜ちゃんが首を傾げ合う。

それがほとんど同時なものだから、私としてはもう、ごちそうさまって気分になる。

羨ましいを通り越して、少し妬ましいくらいだよ。
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