この恋、もう一度〜中学生から大人になっても〜
家に帰った私は、
学校で泣いたなんてお母さんにばれないように、玄関から洗面所に直行した。
手を洗い、顔を洗う。
鏡のなかの自分を見て、
「よし。大丈夫。」
と安心する。
お母さんはキッチンでごはんの用意をしていた。
いつもよりも遅くなってしまっていた私を見ると、お母さんは、
「お帰り。遅かったのね。」
「ごめん、すぐ手伝う。」
私はキッチンでもう一度手を洗い、ごはんの用意を手伝う。
作り終わったお母さんは、
「志保、お父さん、呼んできて。」
「…。」
私は返事をせず、家の内線を鳴らす。
こんなことになってから、お母さんは最初ずっとあの人に、一生懸命でごはんだよって呼びに行くのも何かあると必ずお母さんが声を掛けていた。
でも、一週間くらい前からお母さんは、私を介すようになった。