この恋、もう一度〜中学生から大人になっても〜
「すみません!」
また走りだそうとした。
すると、腕を掴まれていた。
「宮田。どうした?」
その声、
顔をあげなくてもわかる。
私の、
一番好きな声が私を呼ぶ。
「宮田。おいで。」
先生…。
先生…。
先生は私の腕を掴んだまま、
近くの部屋に私を入れた。
「はい。どうぞ。」
先生は椅子を用意してくれた。
雰囲気を伺うと、ここは生徒指導室。
「無理すんな。泣きたいなら泣けばいい。見なかったことにしてやるから。」
やっと顔を上げると先生はいつものように、やさしく見てくれていた。
その笑顔はすぐに歪む。
自分の涙で先生の顔がよく見えないよ。
先生。
先生。