この恋、もう一度〜中学生から大人になっても〜


「すみません!」


また走りだそうとした。


すると、腕を掴まれていた。


「宮田。どうした?」


その声、


顔をあげなくてもわかる。


私の、


一番好きな声が私を呼ぶ。


「宮田。おいで。」


先生…。


先生…。



先生は私の腕を掴んだまま、


近くの部屋に私を入れた。


「はい。どうぞ。」


先生は椅子を用意してくれた。


雰囲気を伺うと、ここは生徒指導室。




「無理すんな。泣きたいなら泣けばいい。見なかったことにしてやるから。」


やっと顔を上げると先生はいつものように、やさしく見てくれていた。


その笑顔はすぐに歪む。


自分の涙で先生の顔がよく見えないよ。



先生。


先生。





< 86 / 220 >

この作品をシェア

pagetop